疾風愛憎峠 1954-03-10
公開:1954-03-10
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あらすじ
元治元年三月、小田原の宿に新たな検問所が設けられ、勤王志士の往来を阻止せんとする対策は一段と厳しくなった。長官陣十郎の配下には芹沢鴨の卒いる新微組、鉄砲組を始め、仁侠の的場新太郎を除いては、近在の貸元を網羅している。折しも小田原に潜入した長洲藩士高柳篭之助と妻お俊は検問所を通過する鑑札の入手に窮し、新太郎の義侠に縋ろうとした。新太郎は五年前、当時浅香と名乗る武士であった頃、茶屋女お俊と駈落し、お俊を捕えた捕吏の偽りの言葉から、お俊の恋心を誤解したまま今日に至ったのであるが、この意外な邂逅には驚いた。新太郎は篭之助の申し出を拒んだ。追求はますます厳しく、監視線を突破しようとした同志が検問所の銃火を浴びて倒れたのを知ったお俊は、誤解を晴らすべく再三新太郎を訪れ、彼等夫婦の固い絆を知った新太郎はお俊に鑑札を与えた。お俊も今も残る新太郎への愛に悩み、高柳に鑑札を渡すと一切を告白し、新太郎の許へ走る事を許された。新微組は長洲志士の隠れ家をつきとめた。新太郎は身を引いて二人が幸せになるのを希い、検問所の急襲の銃声を聞くと駈けつけて陣出を倒し、芹沢をも斬り伏せた。早や東の方に逃げ落ちる高柳とお俊。二人の姿を見届けた新太郎は今は思い残すこともなく、銃弾を浴びつつも西へ西へと落ちのびた。