丘は花ざかり 1952-11-18
解説
石坂洋次郎の同名小説を、井手俊郎と水木洋子が脚色し、千葉泰樹が監督した東宝創立20周年記念作品として製作された。1963年には浅丘ルリ子主演でリメイク版が公開されている。
高畠信子は真面目な夫を持つ主婦だったが、代わり映えのしない日常に嫌気がさし、PTAの役員として活動することに。信子は同じPTAの役員である石山という男性と親しくなる。石山は信子の美貌に惹かれ、彼女を誘おうとしていた。出版社に勤める香月美和子は信子の妹で、高畠家に居候していた。美和子は妻を亡くした編集長の野呂の家に出入りし、やがて彼との結婚まで考えるようになっていた。しかし野呂に、自分よりもっと若い男性と家庭を築くべきと諭される。
あらすじ
香月美和子は東洋評論社の入社試験に見事パスした。彼女は姉信子夫婦の家に同居していた。主人の高畠氏は実直な紳士で、信子は何の不自由もなかったが、刺戟のない日常生活に退屈して子供の学校のPTAの役員になって活躍するようになった。信子はここで同じ役員の石山春雄と親しくなった。石山はキザだが、女には非常に親切な男で、「山猫」というバアのマダム白川朝子のパトロンだった。信子の美しさにひかれた石山は色々な手段を使って彼女の心をとらえようとしていたが、世間知らずの彼女は誘惑の甘さにぐんぐんひかれて行きそうだった。一方美和子は社の野崎という青年と好意を持ち合ったが、編集長の野呂の家庭に出入りし、妻を失った彼の淋しさを見たり彼の老婆や子供たちに慕われると次第に彼を自分の結婚相手に考えるようになった。しかし、美和子の告白をきいた野呂は、若い彼女は若い相手を探して、共に苦労をして家庭を築いて行くべきだとさとした。信子もあやうく石山とあやまちを犯しそうになるが、彼女の人妻としての正しい本能がそれを自制させ、夫にすべてを告白して事なきを得た。白川朝子も胸を病み、石山と別れて美和子の叔父木村健吉の山の牧場で働くようになった。ある日、この牧場へ、木村の案内で高畠夫婦、美和子、野崎が訪ねた。花ざかりの丘にねころんだ美和子と野崎の二人の間に楽しい未来の生活設計が語られていた。