森繁の僕は美容師 1957-08-11
あらすじ
カン美容室の主人貫一は中年のやもめ男。長女はブリキ屋へ嫁入りし、家には行動派の次女蓮子と三女ちどり、長男万作、おばあちゃんと呼ばれている亡妻の母、それに姪の杵子が助手代りに働いている。忙しくて貫一は映画を見る暇もない。新聞記者がインタービューにきた。珍しい男性美容師として、母親代りのお父さんとして、精励する貫一を記事に書きたいというのだ。新聞記事のおかげで大繁昌。新聞にまで出たんだから、少しはリュウとしなくてはと、貫一は洋服を新調したが、家族全員のレジスタンスをまき起し、これはかなわぬと薬局をやっている姉のおしゅんの家へ避難した。そのおしゅんのところで、蓮子の縁談が持ち上った。蓮子は見合いなんて眼中にない娘だが、予防注射のつもりで早いとこ済ましちゃおう、と凉しい顔だ。が、折角の見合いも蓮子が相手の文平とケンカしたとかでオジャンになった。気まずい思いで、貫一が結果をおしゅんに報告して帰ってくると、蓮子はドライブに誘いにきた文平と出かけたという。ある日貫一が組合の会合で熱海へ出かけた留守、文平がまたドライブに誘いにきて、こんどは杵子たち家族全員が行くことになった。行先はやっぱり熱海だ。そのころ貫一は、かねて噂にも上っていた同業、チューリップ美容院のマダム千代乃と、海岸をご機嫌で歩いていた。千代乃は貫一に、別居結婚をしようと提案し、貫一の心も大いに動いた。ところが、翌日帰宅するやいなや、貫一は子供たちから吊し上げを食うが、親の自由を主張して家をとび出した。一時はカッとなったものの、冷静になると千代乃はつまらない女と判り、貫一は行先もないまま、長女沙羅子の家で孫のお守などやっている。おしゅんが訪ねてきて、店はおばあちゃんと子供たちだけで結構うまくやっているという。貫一は喜んでいいのか悲しんでいいのか判らない。しかし、杵子が迎えにきて、貫一は帰る決心がついた。明日からはまた、忙しいお父さん生活が始まるのだ。--