愛と死の谷間 1954-09-21

公開:1954-09-21/製作:1954年    old
 

解説


 作家・椎名麟三のオリジナル脚本を、五所平之助が監督し映画化。芥川也寸志が音楽を担当した。
 女医の竹内愛子は貧民街にある診療所に勤めていた。所長の大沢は金持ちの栄子に結婚話をちらつかせ、彼女の金で病院を建設・経営しているが、事務職員の桃代と関係を持っている。さらに大沢は愛子との結婚をもくろんでいた。栄子は嫉妬し、愛子を病院から追い出すための証拠をつかむため、調査を探偵に依頼。探偵の風見は変装して愛子の尾行を開始する。しかし貧民街の少年がけがをした際、風見は素顔で少年を助け病院に運び込み、愛子と顔を合わせてしまった。自分を尾行する探偵とは知らない愛子は、風見の優しさに惹かれる。風見も医師として立派に働く愛子に興味を持つようになり…。

あらすじ

竹内愛子は横浜の大沢診療所に勤める女医である。彼女は一人の怪しげな男に絶えず尾行されていることを知り、心の平静を失う。尾行の男は風見という私立探偵所の者だった。彼は生活のため私立探偵になったが、次第に心に矛盾を感じるようになる。診療所長の大沢は妻栄子の金でこれを経営しているが、彼は女医である愛子と結婚すれば事業の上で好都合と思って彼女に言い寄る。栄子はこれを嫉妬して、風見に二人の調査を依頼したのである。しかし大沢は診療所の看護婦今野桃代という女がある事を栄子は知らなかった。診療所の近くに住む少年が汽車にはねられた時、風見は変装の黒眼鏡とソフトをはずして少年を診療所に運び、自ら輸血して救った。彼を尾行の男と知らない愛子は好意をいだき、いつしか二人は幾度も逢う仲となった。だが彼の正体を知った愛子は、たとえ一時でも彼を信じたことで絶望的な気持になる。黒川町の貧民窟に住む勘次は戦傷で苦しんでいるが、愛子に心臓病で死ぬ薬をくれといい、断られると鉄道自殺をする。風見のことで死を考えた愛子は、懸命に彼に励まされて気を取り直すが、愛しあいながら、二人は不思議なめぐりあわせのため、気持が落ちつくまで一時別れねばならなかった。

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