てんやわんや次郎長道中 1963-06-30
解説
「手討」の八尋不二によるオリジナル脚本をもとに「悪名市場」の森一生がメガホンをとった。芦屋雁之助や藤田まこと、白木みのるなど、関西の人気コメディアンが集結した娯楽時代劇。
近くに黄金が出るという噂で持ちきりの男金(おがね)宿場に、若い旅鴉が現れる。宿場一の顔役である長兵衛が、田舎娘を集めて二番目の顔役である美濃辰のあいまい屋へ売っていることを、旅鴉は耳にした。また代官の芹沢九郎二郎は長兵衛たち三悪人と女目明かしお安を集めて、清水次郎長の逮捕について相談していた。三悪人は金山を狙おうと、木挽きの久助と孫娘おかよの住む山吹谷を襲うが、そこへ旅鴉が現れおかよたちを守ることに成功。そうこうしているうちに、八州役人が「男金の宿場に清水次郎長が潜んでいる」と知らせてきたため、宿場は上を下への大騒ぎとなってしまう。
あらすじ
近くに黄金が出るという噂でお祭り騒ぎの男金(おがね)の宿場で一番の顔役長兵衛の許へわらじを脱いだ若い旅鴉は、子分の岩吉から長兵衛が田舎娘を集めて第二の顔役美濃辰のあいまい屋へ売っていることを知った。一方代官芹沢九郎二郎は長兵衛らの三悪人と女目明しお安を集めて当時賞金付きの兇状旅に出ていた清水次郎長召捕の相談を開くが、やがて議題は金山買占めの共同謀議へ変っていった。そして狙われたのが木挽きの久助と孫娘おかよの住む山吹谷。三悪人が抜け駆けを狙ってテンヤワンヤのところへあらわれたのが若い旅鴉。騒ぎを見事治め、美濃辰へ売られようとする娘たちのため、心ばかりの別れの宴を張ってやった。そしてさらに、芹沢の人身御供にされようとした機会を狙って父を殺した芹沢に仇討ちしよとするおきんの危機も救ってやった。そんな時、八州役人篠塚が、男金の宿場に次郎長潜入の報を得てやって来た。まさに宿場はテンヤワンヤの大さわぎ。その祭の夜、若い旅鴉がおかよと共に宿場で群衆にまじって踊っているスキに、山吹谷では長兵衛ら三人の悪人が久助を殺し、土地売渡しの証文をデッチあげた。その証文をめぐって芹沢以下が分け前の相談をしているところにあらわれたのは“俺こそは清水の次郎長だ”と名乗る男。マンマと証文を手にひきあげようとした自称次郎長に“待った”をかけたのは若い旅鴉。実はこの旅鴉こそほんとうの次郎長だった。かくて悪人たちはほろび、久々に清水に向う次郎長の顔も日本晴れだった。