自分を見失い、喪失状態に陥った一人の映画女優がいた。彼女は自らの体験を基に脚本を執筆するが、やがてそのプロセスの困難さに押し潰されそうになる。苦しさから逃げ出すためバリ島へとやって来た彼女。青く大きな海を前に、彼女の心は少しずつ溶けてゆく。「どこにいても、あなたはあなた。すべてはあなたの心の鏡でしょ?」 傍らに座った不思議な少女の言葉が心に響く。波の音とガムランの音が幻想のように彼女の全身を駆け巡り、心を揺さぶる。彼女には、もうここが現実を超えた場所のように思えていた…。