キスとキズ 2004-10-30
解説
都会に住むどこか満たされない思いを抱えた人々に生きる意味を問う堀江慶監督の青春ロードムービ。監督は若干26才ながら『渋谷怪談1,2』などを手がける一方、俳優としても活躍している新世代の映画人。主演には『カクト』の高野八誠と『リリィ・シュシュのすべて』の市川実和子が務める。どこにでもいるような主人公の姿を通し、現代人からの共感を誘う。
あらすじ
とある港の近くに住む、小説家を夢見る青年・香坂俊(高野八誠)。昼は被り物で宣伝用ビラ配りを、夜はコンビニでバイト生活をおくる、俗に言うフリーターだ。元彼女さとみ(福澄美緒)は、数年前に東京にあこがれ、反対していた香坂を振り切って上京した。それ以来、香坂は仕事もまともに続かず、転々と職を変わっては酒浸りとなっているのだった。コンビニのバイト仲間である桜井(水橋研二)の送別会の帰り、酔っ払った香坂は足をふらつかせての帰宅途中、港付近を通りかかる。と、突然悲鳴が聞こえ、一人の女性が二人組の男に襲われかけているところを、偶然にも助ける。これが夏希(市川実和子)と香坂の出会いだった。しかし、名前をお互い名乗るだけで、その場は夏希のお礼の言葉だけで、二人は別れた。夏希を忘れきれない香坂は、出会ったところで再会を期待するが、逢えることはない。被り物のバイトで知り合った中国人不法滞在者のロンファー(翁華栄)と香坂は、悩みも打明ける友人関係にあった。夏希と香坂は再会するが、そこは意外にも…。一方、香坂の身体は日々不調を訴えるようになってきた。香坂の叔父の泰三(寺島進)は、東京でヤクザをやっていて、片や風俗店も営んでいる。泰三は田舎に戻り、一風変わった飲み屋を経営し始めた。香坂の父の春夫(平泉成)も東京で政治家になり、息子との交流はあまりない。香坂は、常に自分の存在感に疑問を感じていた。夏希と再会したことで、香坂は人生の転機を感じるようになる。ロンファーは、実は被り物のバイトの他にもうひとつの仕事がある。中国人マフィアとの繋がりでできた、ある裏家業が。これがのちに、香坂と夏希が巻き込まれていく運命の一触即発へとつながるが……。