メフィストの誘い 1996-01-20 LE COUVENT

公開:1996-01-20/製作:1995年    old
フランス,ポルトガル
 

解説

 パリに暮らす米人文学研究者のマイケルは、フランス人の妻ヘレンを連れ、シェークスピアはスペイン系ユダヤ人だったという自説を裏付けるため、今は図書館になっているアラビダの古い僧院を訪れた。彼らを迎え入れた管理人は一目でヘレンの美しさにほだされ、まるで不安定な彼らの仲を試すように、夜も仕事に没頭するマイケルの助手に若い女性研究員をあてがう……。ゲーテの『ファウスト』を下敷きに、神の僕を偽る誘惑者=悪魔が生身の女性に溺れていく姿を描いた作品。

あらすじ

アメリカ人の文学教授マイケル(ジョン・マルコヴィッチ)が妻のヘレン(カトリーヌ・ドヌーヴ)を連れてポルトガルの山中にある古い修道院を訪ねる。教授の目的はシェイクスピアの出生の秘密を明らかにする古文書を調査すること。管理人のバルタール(ルイス・ミゲル・シントラ)が夫妻を迎え入れ、老小使いのバルタザール(ドゥアルテ・ダルメーダ)に修道院の山を案内させる。敬虔なカトリックを装うバルタザールと妻でメイドのベルタ(エロイサ・ミランダ)、実は白魔術の伝承者である。修道院の書庫を管理する研究員ピエダーテ(レオノール・シルヴェイラ)物静かで清純そうな美女だが、夫婦の星占いには不吉な兆候が見える。一方バルタールは本格的な黒魔術の研究者であり、実はこの修道院自体が信仰の場とルシファー崇拝の場が表裏一体になった土地だった。不吉さの漂う空気のなかで元々冷めきっていた教授夫妻の仲はいよいよ疎遠になり、バルタールはヘレンに言い寄って悪魔崇拝の遺跡を見せ、教授にはファウストを説き伏せるメフィストフェレスの如く知識の力で永遠の命を手にするよう誘惑する。ピエターデは彼にゲーテの「ファウスト」の一節を読み聞かせるが、その場にバルタールが現れ、「大好きな作品で、ほとんど暗記している」と言ってメフィストの台詞を暗唱する。ピエダーテは教授に『ファウスト』の英訳本を贈る。二人のあいだには男女を越えた精神の絆があった。女の意地を感じたヘレンはバルタールに、ピエダーテを森のなかで迷わせて永久に姿を消させることを条件にバルタールの欲望に答えるという。果してピエダーテを森の迷宮に呼び出したバルタールだが、そこで彼女に教授に男への愛は一切感じていないこと、むしろバルタールに性的魅力を感じていたこと、そして今は神への郷愁を強く感じていると告げる。ピエダーテは彼を振り切るように森の奥に走りだし、バルダールも懸命に後を追って森に消えた。海岸から目撃していた漁師の話によると、森は炎に包まれ、二人の行方はそのまま知れない。ヘレナが海から全裸で泳いで現れ、ギリシャ風の衣に身を包み、教授と肩を抱き合ってパリに戻った。その後教授はシェイクスピア研究を中止し、今ではオカルト学の権威になった。だがもちろん、漁師の言葉をそのまま信用していいものではない。

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