高校生ブルース 1970-08-22

公開:1970-08-22/製作:1970年    old
日本
 

解説


 大映期待の新人関根恵子(現・高橋恵子)の映画デビュー作。当時15歳の関根恵子が鮮烈なヌードを披露しただけでなく、ハードな役柄を体当たりで熱演して話題となった。柴田成人が高校2年生の時に書き上げた小説『傷だらけの十六歳』を「十代の妊娠」の帯盛迪彦監督が映画化。16歳の高校生・美子はある日、クラスメイトの昇とふとした好奇心から肉体関係を持つ。しばらくして自分が妊娠していることに気付く。事実を知らされた昇は狼狽する。やっとの思いで医者に相談した昇は、中絶費用を工面するため家族に内緒でバイトを始めるが…。

あらすじ

十六歳の美子は人間が食欲を感じることと同じ自然さで、クラスメイトの昇と、薄暗い体育倉庫で肉体関係を結ぶ。美子の性に対する知識は無知に近く、昇に生理のことを聞かれるまで自分の体内に変化があることに気がつかなかった。それを決定的にしたのは、体操の時間に吐きけをもよおしてからだった。昇との気の遠くなるような恍惚感を共なう営みの結果が妊娠という厳粛な恐ろしい事実を招くとは、美子には信じられなかった。それは彼女の全存在を根底から揺がす衝撃的な出来事であった。それにも増して、昇は狼狽した。昇は、なんとしても堕さねばならないと思ったが、初めての経験でなす術もわからぬまま相談相手も見つからず窮地に追いこまれていった。それでも昇は、クラスで性の権威と目される五十嵐に相談したり、学校から帰ると、こっそり兄の背広を着て産婦人科の前をうろついたり、また本屋で、性生活とか出産、育児とかいった本を立ち読みしては、周囲の大人たちからうさんくさい目でみられ、急ぎ足で引き返すようなうしろめたい日々が続いた。一方美子は、新しい生命の存在を実感しながら、その心理に大きな変化が頭をもたげつつあった。それは自らの出生にまつわる何か不確かな疑惑であった。自分が父と母との快楽の果てに産みおとされたと考えるや否や、自分の存在にたまらなく自己嫌悪を感じた。その頃、いても立ってもいられなくなった昇は、患者のいそうもない産婦人科を見つけて、やっとのことで事情を話した。翌日から昇は医師から教えられた一万五千円の中絶費用を作り出すために、家族にわからぬように牛乳配達のアルバイトを始め、美子への責任を果たそうとした。美子はお腹の赤ん坊を堕す決心をし、ちょうど昇と関係をもってから三ヵ月目に、昇を体育倉庫に連れていった。不安に怯える昇に、美子はマットの上に横になり「私のお腹を思いきり踏みつけて」と告げるようにいった。昇は非人間的な行為からくる戦慄と、一抹の安堵感とで狼狽するが、美子の声にあやつられ夢中で美子の下腹部を踏んだ。激しい腹痛に襲われながらも一人で家までたどりついた美子の様子にあわてふためいた母は、医者から「流産です」と言われ昂奮のあまり泣き伏してしまった。やがて元気を取りもどした美子だが、一人になると短期間に重りすぎた悲しみが出口を見つけて一気に美子を襲った。美子はベッドの上で身をよじり、烈しく涙を流した。

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