新宿インシデント 2009-05-01 新宿事件/THE SHINJUKU INCIDENT
解説
世界的に有名な歓楽街の一つ、新宿・歌舞伎町を舞台に、恋人を探し密入国した男が裏社会でのし上がる姿を描く社会派ドラマ。無敵のヒーローとして国際的な活躍を繰り広げたジャッキー・チェンが、運命に翻弄(ほんろう)され後戻りできないポジションに到達する主人公をワイルドに熱演。裏社会の抗争と愛憎をダイナミックな人間ドラマとして描いたしたのは、香港映画界の巨匠イー・トンシン。中国で上映禁止になった過激な作風と、ジャッキーの急変ぶりに圧倒される。
あらすじ
中国東北部で働いていた鉄頭(ジャッキー・チェン)は、留学したまま消息を絶った恋人シュシュ(シュー・ジンレイ)を探すため、日本に密入国する。同郷の阿傑(ダニエル・ウー)を頼ってたどり着いたのは新宿歌舞伎町。だが、生活のために日雇いの仕事に追われる毎日に、シュシュを探す暇などなかった。ある日、彼の仕事場に警察の手入れが入る。逃げ出した鉄頭は刑事の北野(竹中直人)に追われるが、北野は下水道に転落。溺れかけた彼を助けたのは鉄頭だった。借りを作った北野は鉄頭を見逃す。やがてナイトクラブで働くようになった鉄頭は、シュシュを発見。だが、彼女は既に新宿を仕切るヤクザ、三和会幹部の江口(加藤雅也)の妻となっていた。その事実にショックを受けるが、出国時に官憲を殺していた鉄頭には帰る場所もなかった。新宿で生きるしか残された道はないと腹をくくった彼は、やがて犯罪に手を染めていく。ある日、中国系ギャングから拷問を受けた阿傑の仕返しに向かった先で偶然、鉄頭は殺されかけた江口を救う。彼を自宅まで連れ帰った鉄頭はついにシュシュと再会。江口は二人の関係に気付くが、鉄頭を自分の野心のために利用しようとする。跡目相続で揺れる三和会。その後継者候補を暗殺して自分がのし上がろうというのだ。そして、対立派閥の後継者候補2人は鉄頭により暗殺され、江口が三和会会長の座に着く。こうして、表では東華商事という堅気の商売をしつつも、鉄頭はいつの間にか日本最大の外国人組織のトップに立っていた。だが、彼とは反対にギャングの襲撃で片手を失った阿傑は人柄が豹変。柔和だった性格は凶暴になり、麻薬取引にも手を出す始末。それが江口の差し金と知った鉄頭は、江口の犯罪を追う北野に、跡目争いの際に自分が行った殺人を告白する。だが同じ頃、江口の対立組織が東華商事襲撃を企てていた……。