赤ひげ 1965-04-03

公開:1965-04-03/製作:1965年    old
 

解説

 山本周五郎原作の『赤ひげ診療譚』を基に、巨匠・黒澤明監督が三船敏郎、加山雄三主演で映画化したヒューマニズム溢れる人情ドラマ。江戸時代の小石川養生所を舞台に、そこを訪れる庶民の人生模様と通称赤ひげと呼ばれる所長と青年医師の心の交流を描く。長崎で和蘭陀医学を学んだ青年・保本登は、医師見習いとして小石川養生所に住み込むことになる。養生所の貧乏くささとひげを生やし無骨な所長・赤ひげに好感を持てない保本は養生所の禁を犯して破門されることさえ望んでいた。しかし、赤ひげの診断と医療技術の確かさを知り、また彼を頼る貧乏な人々の姿に次第に心を動かされていくのだった……。

あらすじ

医員見習として小石川養生所へ住み込んだ保本登は、出世を夢みて、長崎に遊学したその志が、古びて、貧乏の匂いがたちこめるこの養生所で、ついえていくのを、不満やるかたない思いで、過していた。赤っぽいひげが荒々しく生えた所長新出去定が精悍で厳しい面持で、「お前は今日からここに詰める」といった一言で、登の運命が決まった。人の心を見抜くような赤ひげの目に反撥する登はこの養生所の禁をすべて破って、養生所を出されることを頼みとしていた。薬草園の中にある座敷牢にいる美しい狂女は、赤ひげのみたてで先天性狂的躰質ということであった。登は、赤ひげのみたてが誤診であることを指摘したが、禁を侵して足しげく通った結果登は、赤ひげのみたてが正しかったことを知った。毎日、貧乏人と接し、黙々と医術をほどこす赤ひげは、和蘭陀医学を学ばなければ解る筈のない大機里爾という言葉を使って、登に目をみはらせた。赤ひげは「病気の原因は社会の貧困と無知から来るものでこれに治療法はない」といつも口にしていた。こんな中で登は、貧しく死んでゆく人々の平凡な顔の中に、人生の不幸を耐えた美しさを見るようになった。登が赤ひげに共鳴して初めてお仕着せを着た日赤ひげは登を連れて岡場所に来た。そして幼い身体で客商売を強いられるおとよを助けた。人を信じることを知らない薄幸なおとよが登の最初の患者であった。長崎帰りをひけらかし、遊学中に裏切ったちぐさを責めた自分に嫌悪を感じた登は、おとよの看病に必死となった。やがておとよは、登に対しても他人に対してもあふれる愛情を示し始めた。そしてふとした盗みでおとよに救け出された長次とおとよの間に、幼い恋が芽生えた頃、登はちぐさの妹まさえと結婚の約束を取り交した。そして、名誉にも金にも縁遠くなっても、一生この養生所で、医術にいそしむことを誓った。

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