渡り鳥いつ帰る 1955-06-21

監督: 久松静児
公開:1955-06-21/製作:1955年    old
日本
 

解説


 永井荷風の短編小説『にぎりめし』『春情鳩の街』『渡鳥いつかへる』を、久保田万太郎が再構成し、八住利雄が脚色した。
 伝吉は戦争の混乱に妻と娘と離ればなれになってしまい、鳩の街にある〈藤村〉の主人となった。そこには様々な境遇を抱えた女たちが働いていた。自分に夢中な寺田から逃れるため、栄子は伝吉を誘って駆け落ちする。伝吉の妻の千代子は由造という男に助けられ、一緒におでん屋を営んでいた。ある日、伝吉と栄子、由造と千代子が偶然にも出会ってしまう。生き別れた妻が娘を育てていることを知るが、伝吉は今の自分の立場をわきまえ、このまま身を引くことを決意した。酒に酔った伝吉は、誤って川に転落してしまう。

あらすじ

吉田伝吉は戦禍の中に妻千代子、娘トヨ子を見失ない、馴染みの女おしげにひきとられ鳩の街の「藤村」の主人になる。自分に夢中の時計工寺田を嫌いぬく疳癪持ちの栄子、母親と娘照子を養う為に客から金銭をせびる苦労性の民江、一緒になれる日を夢みて情人武田に金を貢ぐ種子、恋愛と称して客の選り好みをするアプレ娘街子。彼女等は「藤村」に働いている女達である。千代子は善良な佐藤由造に救われたのが縁で一緒におでん屋を開いている。鈴代は鳩の街の生活から足を洗い、その時の恩人松田、村井と共に流しの歌手をしている。民江は病気になり家へ帰り、栄子は寺田から逃れる為に伝吉を誘惑して駈け落ちをする。武田が帰らないので絶望している種子は失意の寺田と同情し合う。駒形のどじょう屋で千代子、由造、栄子、伝吉は偶然出会う。千代子が娘を育てているのを知り、伝吉は由造の店を訪ねるが自分の立場を知ると離婚届に捺すべき印鑑を置いて飛び出す。警察に追われる武田は、手紙と返済金一万円を種子に渡す様にと鈴代に頼む。鈴代は手紙だけ渡し、金は胸を病む松田の医療費に取って了うが、松田は鈴代と村井の幸せを希って帰郷する。寺田は種子と死ぬつもりで家を出るが、自棄酒に酔った伝吉が川に落ちるのを見ると種子をおき去りにする。伝吉と種子の「心中した」死体があがりおしげは驚く。街子は種子の持物を持って逃げ、民江は子供が入院したので無理に働きに出る。鳩の街の生活は今日も続けられる。

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