地球でたったふたり 2008-09-20
解説
生みの親にないがしろにされ、愛情を注がれない少女2人が、それでも小さな幸せを求めて生きていく姿を描くヒューマンストーリー。監督は『しあわせなら手をたたこう』の内田英治。オーディションで選ばれた実の姉妹、寉岡萌希と寉岡瑞希がヒロインの少女ユイとアイを演じている。共演は菅田俊、忍成修吾、菅原文太ら。生きるために必死な子どもたちが日本にも存在することを知らせたいという、強いメッセージ性にあふれた作品だ。
あらすじ
おとなしく物静かなユイ(寉岡萌希)は母親(菜葉菜)と暮らしていた。母は10代でユイを生んだときから夜の仕事をしており家にいることがほとんどない。ユイは孤独な毎日を送っていたが、6歳のとき母が再婚。新しい父(榊英雄)とともに、ユイより2歳年上のアイ(寉岡瑞希)がやってきた。父は仕事もせず家族に暴力をふるい、母も娘たちにまったく無関心で自分の青春を謳歌する毎日。孤独に耐えながらふたりの少女は強い絆で結ばれ、やがて中学生へと成長する。そんなある日、夫婦が口論、母が離婚を切り出す。両親が離婚すればユイとアイは別れなくてはならない。ふたりは逃げるようにして家を出る。育った町を離れ、東京へと向かうユイとアイ。電話ボックスで寒さをしのぎ、残飯を漁る新宿での路上生活は、ふたりにとって始めて経験する自由で幸せな体験であった。ある日、アイは買春目的で声をかけてきた中年男(飯島大介)のカバンを盗むが、その中には暴力団の重要な帳簿が入っていた。若き組長・北村(忍成修吾)は、ふたりを探すようヤクザたちに命令する。新宿中を逃げ回っていたふたりを助けたのは、中年チンピラの谷田(菅田俊)だった。谷田は仲間には何も知らせず、ふたりを自分の部屋へとかくまい、娘のように可愛がった。しかし、そんな時間も長くは続かず、谷田は組織に殺されてしまう。やがて、ふたりにも組織の影が近づき、心身ともに傷つきながら新宿の街を疾走する。その手には谷田から手渡された拳銃があった。そして、警察もふたりを追いはじめる。高層ビルの屋上で警官たちに包囲され、絶体絶命のユイは最後の力を振り絞って叫ぶ。「悪いこと何もしていないのに、なんでいじめるの!」。しかし、少女の声は新宿の騒音に虚しくかき消される。じりじりと警官が迫るなか、ふたりは最後の賭けにでた……。