おしまいの日。 2000-01-15
解説
新井素子の同名小説を「喪の仕事」の君塚匠監督、結木奈江、高橋和也主演で描いた異色のホームドラマ。大学時代に知り合い、結婚した子どものいない夫婦、三津子と忠春。ひたすら仕事に打ち込む忠春とそれを家庭でけなげに支える三津子。せつないまでに夫を愛するもののすれ違いを感じ始めた彼女の想いは毎夜日記に綴られていった。そんなある日、三津子は高校時代の友人・久美と12年ぶりに再会する。彼女と夫・俊彦との気ままな生活は、三津子たちとはあまりにも対照的だった……。
あらすじ
大学時代の水泳部で知り合った忠春と三津子。しかし甘い新婚生活も束の間、忠春は仕事に追われるようになり、三津子は夫の体を気遣うあまり極度の心配性に陥って、精神のバランスを崩しつつあった。ある日、三津子は近所のスーパーで高校時代の親友・久美と再会する。夫の俊彦との倦怠期に悩む久美は、忠春に献身的に尽くす三津子を初めは感心していたが、やがて彼女がノイローゼであることに気づき、何かと三津子の気を紛らわせようとする。そんなある日、三津子の妊娠が判った。忠春は喜ぶが、三津子の顔つきは浮かない。それどころか三津子は自殺を図り、精神科への入院を余儀なくされる。妻を追いつめたのは自分だと悟った忠春は、深夜、彼女を病院から連れ戻すが、三津子は日記に「おしまいの日が来た」と書き残して姿を消す。忠春は心当たりを探すが、三津子は見つからなかった。それからしばらくして、久美宛に三津子から一通の手紙が届けられた。そこにはこう書かれていた。「私は、忠春さんと彼の分身である子供のふたり共の面倒を見る自信がありません。でも、子供だけならまだ頑張れる。だから、決めたのです。忠春さんを愛することをおしまいにしようと…」。だが、その直後忠春は駅のホームのベンチで過労死から息を引き取ってしまう。一方、その頃三津子は忠春と名づけた子供とふたり、海辺の町でひっそりと暮らすのであった。