逃亡くそたわけ 21才の夏 2007-10-20
公開:2007-10-20
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解説
入院中の精神病院を飛び出し、おんぼろ車で行き先不明、時間無制限の逃避行を繰り広げる男女のロードムービー。幅広い層から支持される芥川賞作家・絲山秋子の同名小説を基に映画化。『さくらん』の美波と『夕凪の街 桜の国』の吉沢悠は躁うつ病とうつ病の患者という役ながら、2人の姿には悲壮感はなく清々しく好演。南九州のあふれる光彩、原作でも歌詞が引用されたTheピーズの楽曲が、作品を盛り上げる。
あらすじ
大学生の花ちゃん(美波)は、自殺未遂をはかり福岡タワーに近い精神病院(=プリズン)に入院させられていた。「亜麻布二十エレは上衣一着に値する」…低い男の声…意味はわからない。だけどこの幻聴が聞こえると調子が悪くなるのだ。いてもたってもいられなくなり逃亡を企てる。道連れとなるのは、鬱で入院中の標準語しか話さない名古屋人、なごやん(吉沢悠)。後先考えず脱走してしまう二人。なごやんの愛車ルーチェに乗り、博多から鹿児島までの珍道中が始まる。旅を続けるうちになごやんは「俺、自分のものさしが全部おかしくなった気がするよ」と阿蘇を前にそう思う。そんな旅の中で、二人は共感したり、険悪になったり、紆余曲折はあるものの、ゆるりと癒されていく…。たどり着いた指宿(いぶすき)の知林ヶ島という砂州で地続きとなる島で、あり得ないはずのラベンダーの香りが一瞬漂う。その瞬間二人は何かを悟る。何てコトのない逃避行が、ここで一気に答えとなる。何をつかんだのか、明快な答えはない。だが、旅の持つ不思議な力が、二人の心に何かを伝えたのだった……。