イエロー・ケーキ クリーンなエネルギーという嘘
解説
黄色い色をしていることからイエロー・ケーキと呼ばれる、ウラン鉱石の粉末精製の裏に迫るドキュメンタリー。原子力発電の燃料として用いられ、二酸化炭素も出さず、再利用も可能だとして、クリーンなエネルギーだとうたわれてきた、このウラン粉末の危険性をさまざまな角度から調査する。5年間にわたって世界各国のウラン採掘現場への取材を敢行し、鉱石採掘の時点でウランから処理不可能な放射性物質が大量に放たれている実態を浮き上がらせていく。脱原発政策を打ち出したドイツから発せられる真摯(しんし)なメッセージに、改めてエネルギーの在り方を再考したくなる。
あらすじ
イエロー・ケーキとは、天然のウラン鉱石を精錬して得られるウランの黄色い粉末のことで、このウランの粉が気体に変換され、濃縮、粉末の再転換を経て燃料棒のもととなる。燃料棒を束ねたものが原子炉の中で核分裂して熱を生み、発電機を回すのが原子力発電である。発電時に二酸化炭素を出さず、再処理を行えば繰り返し使用できることから、ウラン燃料はクリーンなエネルギーと言われてきたが、これが誤りであることは1930年代から明らかになっていたにもかかわらず、その事実は隠蔽されてきた。かつてヒロシマ型原爆32万個分のウランを産出した旧東ドイツ南部で、採掘会社ヴィスムート社は一時、12万人もの社員を高給で雇用していた。同社は世界第3位の生産量を誇り、100%旧ソヴィエト連邦に輸出していたが、鉱石1トンからわずか数グラムしかウランが取れず、採掘後の鉱石は放射性を帯びた有害物質であることを隠していた。東西ドイツ統一、ソ連崩壊のあと新政府は、東ドイツ南部の危険地域指定と、ウラン生産の無期限停止を決定する。しかしヴィスムート社社員の高い肺ガン発生率、ウラン工場から周辺に放出された2億トンもの放射性の汚泥、莫大な量の廃棄物の山が残された。65億ユーロの税金を使っても解決方法が見いだせないまま、処理作業は延々と続いていく。もう一つの大国アメリカにウランを供給し続けたカナダ、現在世界第1位の産出量を誇るオーストラリア、新興のアフリカ・ナミビアは、旧東ドイツ南部の現状とは反対に、ウラン生産に邁進している。現地の人々はなぜ採掘所に勤務するのか? ウラン採掘が始まった65年前から今に至るまで、情報操作と隠蔽が続けられるのはなぜか? なお、本作が撮影された2005年から2010年の間に世界各地で30基の原発が建設され、150基が建設予定となり、ウランの価格は20倍にも跳ね上がった。