波影 1965-01-30

公開:1965-01-30/製作:1965年    old
日本
 

解説


 水上勉の同名小説を、八住利雄が脚色し豊田四郎が監督した。撮影を担当した岡崎宏三が「いちばん納得できた仕事」と言うほど、映像の美しさが際立っている。音楽は芥川也寸志が担当。
 レインコートを着た女性が、雛千代の墓を見舞っている。彼女は雛千代のことを思い出していた。雛千代は本名を倉本かね子といい、自分から娼妓になりたいと柾木家を父と訪れたのだった。懸命に働く雛千代を、女将のまさは可愛がった。まさの娘である世津子も、雛千代にとてもよく懐いた。数年後、世津子の父の吉太郎が死亡。しかし除隊となり帰ってきた世津子の兄の忠志は、家業が嫌いだから海軍に入るなどと言い出す。やがてGHQによる公娼廃止令が発布されるが、母親と口論した忠志は柾木家に火をつけてしまう。

あらすじ

毎年夏が訪れると世津子は泊集落の雛千代の墓を訪れる。今年もまた、世津子は墓の前で、雛千代の思い出にふけった。--世津子の家は「柾木家」の屋号で娼家を営んでいた。父吉太郎が小肥りで、色白な倉本かね子を連れて来たのは法事で泊に帰った時であった。この女が雛千代であった。廓という特殊な世界に、生来の明るさを失わず、自ら身を沈めて柾木家につくす様子は、吉太郎、女将まさに当然のように可変いがられた。そして、中でも一番雛千代に惹かれていたのは世津子だった。八歳の夏、雛千代に連れられ泊の里を訪れた世津子は、この集落に、集落から出ていった者は必ず帰って来るという“まいまいこんこ”の風習があることを教えられた。閑静な寂しい集落のこの話は、世津子の脳裏に強く残った。昭和十六年、吉太郎の亡くなった柾木家に、世津子の兄忠吉が除隊され帰って来た。陰気で人を寄せつけない忠吉に、雛千代は何かと勤め、世話を惜しまなかった。昭和二十一年公娼廃止により柾木家も転業を迫られたが、遊女志願はあとを断たなかった。不節操な戦後派の女たちを、快よく迎えた雛千代と世津子だったが、女たちは、その好意を足げにして、柾木家を去っていった。そんな時、忠吉が母親まきと口論の末、「柾木家」に放火した。警察に捕われた忠吉を、雛千代は励まし続けた。この頃世津子は、京都女専卒業をひかえ、希望の教員の夢は断れた。誰よりもそれを夢みていた雛千代の失望は大きかった。やがて柾木家は復旧され、再開されたがその頃雛千代は病気で倒れた。BGになった世津子が枕元に訪れる間もなく、雛千代は息をひきとった。そして世津子に見守られて遺体は「まいまいこんこ」で葬られた。--今、墓の前で、世津子の耳に波音に交って、雛千代の声が聞こえてるようだった。

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