女は二度生まれる 1961-07-28

公開:1961-07-28    old
 

解説

 富田常雄の小説『小えん日記』を、川島雄三が井手俊郎とともに脚色し監督。大映での初監督作品であり、川島の最高傑作の一つに挙げられる。川島が大映首脳陣を前に「若尾文子を女にしてみせる」と宣言したといわれる。
 芸者の小えんは男相手の商売を続ける毎日を送っていた。そんな彼女は、銭湯への行き帰りに出会う大学生の牧にときめいていた。矢島という遊び人と箱根へ行った帰り、小えんは初めて牧と話をするが、彼は大学を出て他の場所へ行ってしまうと言う。売春がばれて置屋が営業停止となってしまったため、小えんは銀座のバーで勤めることに。芸者時代に出会った筒井と再会し、小えんは彼の愛人になった。しかし筒井は病気で倒れ、そのまま亡くなってしまう。

あらすじ

靖国神社の太鼓の音がきこえる花街。芸者小えんは建築家の筒井の胸にいだかれていた。「お名刺いただけません、だってもしもって時いい訳が利かないんですもの、恋人の名前も知らないんじゃ」。売春禁止法も彼女にとってはなんのこうそくも感じさせなかった。ともかく、毎日がけっこうたのしかった。そんな彼女にも心をときめかすことがあった。それはお風呂屋への行きかえりに顔を合わせる大学生牧純一郎に行きあう時であった。しかし彼女の毎日は、相かわらず男から男へと、ただ寝ることだけの生活だった。そんな時知りあった寿司屋の板前、野崎にふとふれあうものを感じ、おトリさまに一緒に行き商売をはなれて泊ったりした。だが、この野崎も将来のことを考え、子どもまである女のところに入婿に行ってしまった。その一方、彼女は遊び人の矢島と箱根に遠出したりした。そのかえりはじめて牧と口をきいたが、大学をでた彼はよそに行くとのことで彼女は淋しかった。そんなある日、彼女のいた置屋の売春がばれて営業停止になった。彼女はもとの同僚にさそわれるまま、銀座のバーにつとめ、そこで筒井に再会、すすめられ二号となった。そこでも彼女はかわいい女だった。ロードショー劇場であった少年工をかわいがって筒井をいからせたりした。しかし、筒井が病にたおれると本妻の目をぬすんでけんめいに看病したりもした。そして一時小康をたもった筒井が死ぬと写真をかざり、モ服を着てなげいた。彼女はふたたび座敷にでて牧に再会したが、彼が外国人客の接待をたのんだのを知って絶望した。街にさまよいでた彼女はいつかの少年工に会った、少年が山に行きたいのを知って、故郷へ行って見ようと思った。その途中、妻子ともに幸福そうな野崎にばったり出あった。彼女から金をもらって元気に山にでかける少年を見送り、故郷へ行く決心をした彼女の目には新しい人生を生きていこうという生きがいのようなものが見られた。

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