ぼんち 1960-04-13

公開:1960-04-13/製作:1960年    old
 

解説

 山崎豊子の同名小説を市川崑が監督し映画化。脚本は市川と和田夏十による。宮川一夫が撮影、芥川也寸志が音楽を担当した。時代劇スターの市川雷蔵が1958年の「炎上」に続いて挑んだ現代劇であり、その演技は高い評価を得た。
 大阪で四代続いた足袋問屋の河内屋。四代目の喜兵衛は婿養子であり、店は実質的にその妻の勢以と、その母のきのが支配していた。五代目で一人息子の喜久治は、妻の弘子を母と祖母に追い出され、花街に足を向けるようになった。父が死に、河内屋の若旦那となった喜久治は金にものを言わせ芸者のぽん太、幾子、女給の比佐子など次々と妾を作っていく。やがて戦争が始まり、河内屋も蔵を一つ残すだけで全焼してしまった。

あらすじ

四代続いた船場の足袋問屋河内屋の一人息子喜久治は、祖母・きの、母・勢以にすすめられ砂糖問屋から弘子を嫁に貰った。河内屋は三代も養子旦那が続いたため、きのと勢以の力は絶大だった。二人は弘子をじりじりとしめつけた。妊娠した弘子は病気と偽って実家へ帰り、久次郎を産んだ。家風を無視されたきのと勢以は弘子を離別するよう図った。昭和五年、弘子を離縁してからの喜久治は新町の花街に足を入れるようになった。富の家の娘仲居・幾子が好意をよせた。父が死に、喜久治は五代目の河内屋の若旦那におさまった。襲名の宴を料亭浜ゆうで開いたが、仲居頭のお福にきのと勢以は魅せられた。彼女を喜久治にとりもち娘を生まそうと企んだ。喜久治は待合金柳で芸者ぽん太と馴染みになった。妾となったぽん太はしきたりに従って本宅うかがいに現われた。さすがの勢以も気をのまれた。喜久治はまた幾子が芸者に出たのを知ると彼女も囲った。ぽん太に男の子が生れた。きのは五万円の金で生れた子と縁切りをするよう言った。日中戦争が始まり、世の中は不景気の一途を辿っていた。喜久治は道頓堀のカフェーで女給比佐子とねんごろになった。幾子が難産の後、子癇を起して死んだ。妾の葬式を旦那が出してやることは許されない。喜久治はお福のはからいで浜ゆうの二階から幾子の葬式を見送った。男泣きに泣く喜久治を、お福は自分の体を投げ出して慰めた。日中戦争から太平洋戦争へ。喜久治は灯火管制下にも妾の家をこまめに廻った。空襲で河内屋も蔵一つを残し全焼した。ぽん太、比佐子、お福がやって来た。喜久治は金庫の金を出して等分にし、河内長野の菩提寺へ行ってくれと言った。翌朝、きのは自殺した。戦争が終った。菩提寺を訪れた喜久治は、勝手にしゃべりまくる三人の女のあけすけの姿をのぞき見、そのまま女にも会わずに帰った。これで放蕩も終りだとさっぱりした気持になったのだ。昭和三十五年三月、今は五十七歳の喜久治、彼は彼なりに商売に対する夢を抱いている。だが、ぽん太の子太郎はいまさら足袋屋でもないと喜久治を嘲笑するのだった。

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