次郎長富士 1959-06-02
解説
ご存じ清水次郎長の物語を、大映のオールスターキャストで描いた豪華娯楽時代劇。「若き日の信長」でコンビを組んだ八尋不二と森一生がそれぞれ脚本・監督を務めている。翌年には同じスタッフ・キャストで「続次郎長富士」も制作された。
火祭で賑わう秋葉神社で暴れた清水次郎長は、神域を血で汚したためお尋ね者になってしまう。次郎長の身を案じる妻お蝶は、森の石松とともに次郎長を追って旅に出ることに。次郎長は行く先々で弱きを助け、徐々にその名声を上げていくのだった。この後、吉良の仁吉の荒神山の血煙り、森の石松の金毘羅代参、そしてクライマックスの黒駒の勝蔵との富士川原での決戦と、次郎長伝の名場面が繰り広げられる。
あらすじ
武井安五郎の賭場へ次郎長は子分・桝川仙右衛門の兄を殺した小台小五郎の身柄引渡しを頼みに行った。ちょうど居合せた黒駒の勝蔵は含むところがあって小五郎と仙右衛門の一騎討ちを計った。仙右衛門は小五郎を倒した。が、神域を血で汚したという理由で次郎長の身辺に役人の手が回った。次郎長は旅に出た。夫の身を案じるお蝶も石松を供に後を追った。その道中、酒に酔いしれた石松は、道中師お新に胴巻を盗まれた。折悪しくお蝶は発病、途方にくれたとき通りかかったのが、以前世話をした豆狸の長兵衛で、彼の家に厄介になることになった。そのころ次郎長の泊った旅籠・大野鶴吉の家では、鶴吉の許婚・お妙に土地の代官が横恋慕、妾によこせとの無理難題。怒った鶴吉が代官屋敷に乗り込むという事件が起っていた。次郎長は早速、宿を飛出した。その彼のただならぬ姿を見たのが、お蝶の薬をとりに行った石松、後を追って代官所へ。次郎長らの大暴れに代官は平あやまりに謝った。日ましに上る次郎長の人気に業をにやした黒駒勝蔵は、浜松の大貸元・和田島太左衛門の跡目相続の席で憤まんを爆発させた。華やかな宴席が修羅場となりかけたとき、和田島の二代目おかつが割って入り仲裁した。勝蔵の憤りはつのった。彼は武井安五郎に府中の盆を盗ませた。これを知った清水の二十八人衆は安五郎の賭場になだれこみ、民家にかくれた安五郎を斬り倒した。が、このとき勢い余ってその家を焼き、これが次郎長の怒りにふれ、大政らは、お蝶の配慮で吉良の仁吉のもとへワラジをぬぐことになった。仁吉の家では、荒神山の盆割りを無法にも安濃徳に奪われた弟分の神戸の長吉が泣きついてきていた。仁吉は恋女房おきくが安濃徳の妹であるため、おきくを離縁、長吉に力をかすことにした。仁吉は大政ら二十八人衆とともに荒神山に乗り込み大乱闘を展開した。仁吉は鉄砲で討たれた。安濃徳の敗北を知った黒駒勝蔵は自ら次郎長と対決しようと富士川を場所に果し状をつきつけてきた。が、これもやはり次郎長の勝利に終った。