薔薇いくたびか 1955-04-24
解説
小山いと子の同名小説を衣笠貞之助が監督し映画化。脚本は衣笠と相良準が共同で執筆した。大映が初の試みとして、所属するスターを総動員して製作したメロドラマ。
松島真一郎は東京藝大音楽部ピアノ科を受験する妹の光子を車で送迎するうち、同じ受験生である桐生弓子とお互い惹かれ合うようになっていた。だが光子と弓子はお互いを受験番号で呼び合っており、相手の名前も住所も知らなかった。光子は無事に合格したが弓子は落第、二人は会うこともなくなってしまう。縁談話が持ち上がったものの、弓子の面影を忘れられない真一郎は受け入れることができない。結婚話を持ちかけられた弓子も、嫁ぐ前にひと目だけでも真一郎に会いたいと上京するのだったが…。
あらすじ
松島真一郎は芸大の音楽部を受験する妹光子の送り迎えをするうちに、妹と受験番号を互に呼び合う美しい女性を知った。光子は合格したが、その一一七番の女性は落ち二度と顔を見せなかった。その女性桐生弓子は東京に近い農村に育ち、野々宮幸子に師事してピアノを習っていた。数日間の知り合いとは云え、真一郎の面影は鮮明に弓子の胸に焼ついた。同じ村の財産家市岡鶴夫に望まれ弓子は嫁ぐこととなったが、結婚の約束だけで嫁に行き先方の気に入らねば追い返される風習「あし入れ」をしなければならないのである。弓子は上京し友人沢田道代と共に芸大へ光子を訪ねたが、彼女の授業は休講で逢えず、また名を知る術もなかった。一方真一郎にも舞踊家山村御風の妹富子との縁談があり、御風は妹のことを真一郎に頼むと弟子素風を連れて欧洲へ旅立った。真一郎は弓子が忘れられず彼を愛している富子は悲しんだ。真一郎の親友芹沢五郎は真一郎の恋を知ると、全てを忘れる為に東南アジアへ出張するようにすゝめた。出発前、真一郎は新聞に一一七番の行方を訪ねる広告を出したが、その為に弓子は結婚二日で追い返されねばならなくなった。初めて全てを知った母よし江は、弓子に心からわびた。そして時はたち、真一郎と弓子はついに結ばれた。