滝の白糸 1956-07-12
解説
泉鏡花の同名原作を島耕二が脚色・監督した。1915年版から数えて六回目の映画化となるが、本作は初めてカラーで製作された。
水芸人「滝の白糸」一座は、寅五郎一座からの合流の申し出を断り、金沢で公演を行い成功を収める。夜、散歩に出かけた白糸は、川岸で馭者の村越欣弥と出会った。法律を学んでいるという欣弥の話を聞き、白糸はその費用を出すことにする。欣弥が東京に出ても白糸は送金を続けた。だが滝の白糸一座も時代の波には勝てず、富豪の上林からの援助を受けるようになる。金沢での凱旋公演が成功した日、上林にもらった金を欣弥に送ろうとした白糸は、寅五郎に金を奪われてしまった。金を工面してもらおうと上林を訪れる白糸だったが、体を求める上林に抵抗し誤って殺害してしまう。
あらすじ
明治の中頃。水芸人滝の白糸一座に合流を申し入れて一蹴された南京出刃打ちの寅五郎は、一足早く興行地の金沢に乗り込み白糸の邪魔をしようと考えた。寅五郎一座は矢部川を渡り、対岸の馬車会社で馬車を借り切ろうとしたが馭者の村越欣弥に手ひどくはねつけられ、止むなく人力車で出発した。だが白糸達の馬車が人力車を追い抜こうとしたとき、寅五郎の妨害で馬車は立往生。怒った欣弥は気をもむ白糸を馬に乗せ、金沢まで送る。金沢で白糸一行は寅五郎一座を尻目に初日から大入り。だが放心したような白糸の態度を後見のお安は心配した。ある夜、白糸は凉みがてらに卯辰橋に赴き、そこで岸辺に眠る欣弥の姿を見た。目覚めた欣弥と白糸は初めて打ちとけて語り合う。白糸は欣弥が法律を学んでいると知り、その費用を出そうと申し出た。欣弥は白糸の真情を快く受け、他に身寄りのない母をも彼女に託して東京へ立った。それから二年、白糸は文明開化の波に押されて苦しい中にも送金を続け、二人の文通は絶えなかった。だが、やがて時の勢いで白糸一座も寅五郎一座との合流を条件に、富豪上林信之助の援助を受けるようになる。白糸に恋慕する上林を見て一計を案じた寅五郎は、季節外れの地方廻りで一座が参った処を上林の金で救い、白糸をウンと言わせようと持ちかけた。計画は図に当り、一座は上林に救われて金沢で凱旋興行をやることになる。大入りの初日、白糸が上林に貰った金で就職試験に励む欣弥に最後の送金をしようと卯辰橋へ差しかかった時、寅五郎に襲われ大切な金を奪われた。送金の工面にも万策つきた白糸は又、上林の許を訪れたが欲情に燃える彼に迫られ、身を守ろうとして思わず上林を殺してしまう。現場に残された出刃から寅五郎があげられ、その公判の日、意外にも検事席に着く欣弥の峻厳な尋問に、白糸は総てを告白した。だが裁判の結果は、懲役三年執行猶予二年という情ある判決。面会所に白糸を訪れた欣弥は、母立合いの上で結婚届に正式に署名し、今は妻と呼ぶ彼女を伴って法廷を去っていった。