浅草の肌 1950-04-15

公開:1950-04-15    old
 

あらすじ

浅草は六区の裏通り、レヴュー劇場美銀座では今宵も賑やかなリズムで幕を開けたが、相変わらず入りは悪かった。プロデューサー兼演出家兼文芸部長の香取は厳格な人間であった。ある日、この美銀座に若草クルミが現れた。見事な一輪の狂い咲きの女。男という男は知りつくしたという女。そのクルミが、香取に魅せられたのだ。香取は熟れきったクルミの肉体にも一向反応を示さない。その態度が、クルミの気持ちをかえってたかぶらせたわけである。クルミは、執拗に、香取につきまとっていた。だが相変わらず香取はクルミに対して少しも反応を示さない。その頃、不振を挽回するために、裸ショーに転向するよう支配人からいわれた香取はくさってしまった。そんな時でも相変わらずクルミは香取にまとわりついた。香取は激怒してクルミを叱った。だがクルミは動じないで、かじりつくのだ。ひきはなしても、投げ飛ばしても、クルミは「女豹」の様にとびついた。やっとクルミを追い返したあと、香取ははっと一つのアイデアを思いついた。あの豹のようなクルミを、そのまま舞台に再現しよう、と。香取の意図は当たって、「女豹」と題するクルミの踊りは、浅草の人気をさらい、久しぶりに踊子たちにも明るい光がさした。さて一方飲み屋「おけい」の女主人お圭は、かつて香取と交渉があり、その妹は隼という男にもてあそばれ、お圭もまた隼のえじきになった。その男が現れて、十万円を強迫し、お圭は苦しんだ。悪党隼は、近頃売り出した美銀座の女豹クルミの肉体にひかされて、ついつい手を出したのが運のつきで、香取に見事なパンチをくらったあげく、証拠品を残したので足がついた。脱獄囚隼。非常警戒網が浅草に張られた。隼は金欲しさに「おけい」に寄ったが、そこにも手が廻っていた。いよいよ身の危機を感じた隼は、道づれに、香取を殺そうと、美銀座に忍びこんだ。このとき香取の危険を知ったクルミは必死に隼とからみあい、一瞬のはずみで逆に隼を射殺してしまった。暗然たるクルミを、香取はそっと抱きかかえた。舞台ではクルミのファンが、呼んでいる。香取は叫んだ。「クルミ、舞台だ」「えっ」と笑顔をつくってクルミは颯爽と舞台へ出る。嵐のような拍手のうちに浅草の人々に見守られながら、クルミは今の瞬間も踊り狂っている。

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