ジャコ萬と鉄 1964-02-08
解説
1949年に製作・公開された映画「ジャコ万と鉄」のリメイク。梶野悳三の小説『ジャコ万と鉄』(『鰊漁場』の改題)をもとに黒澤明と谷口千吉が脚色し「ギャング同盟」の深作欣二がメガホンをとったアクション作品。
北海道の九兵衛一家は出稼ぎの漁夫を集めてぼろ儲けをしていた。そこへかつて九兵衛に船を盗まれ抑留されていたジャコ万がやってくる。さらに嵐の海で行方不明になっていた九兵衛の息子、鉄も舞い戻ってきた。ジャコ万と鉄はことあるごとに衝突していたが、ジャコ万を追いかける女ユキの出現により、状況が少しずつ変わっていく。やがてニシンの大群が現れ、漁夫たちは喜び勇んで浜へ走って行ったが、ジャコ万はひとり、九兵衛の前に立ち塞がるのだった。
あらすじ
終戦後間もない北海道カムイ岬、九兵衛一家は前科者の多い出稼漁夫を使ってぼろい儲けをしていた。ある日出稼漁夫を相手に暴れまわる片目の男をみて九兵衛はガク然とした。ジャコ万というその男はかつて九兵衛に船を盗まれソ連に抑留されたのだ。復讐に燃えるジャコ万の出現に困り果てる一家の許へ、嵐の海へ行方不明となっていた九兵衛の息子鉄が舞い戻って来た。ジャコ万と鉄、荒くれ者の二人はことごとく対決したが、鉄はジャコ万から父が船を盗んだ事を知らされ愕然とした。そんな時、ジャコ万を追いかける女ユキがあらわれた。邪険にあつかうジャコ万に、鉄は何かと親切に番屋で雇ってやるのだった。業つくばりの九兵衛と出稼漁夫の間は決してうまく行ってなかった。大時化の夜一向に歩を出さない九兵衛に出稼漁夫はストライキを起こした。たかをくくっていた九兵衛も一同を代表して鉄が割増金を要求したのを見て、要求をのむしかないと悟った。ニシンの大群を前にして、驚喜して浜へ走る漁夫を後にジャコ万は九兵衛の前に立ち塞がった。鉄がその危機の中に割って入った。出稼漁夫の乗る船の元網を切ろうとするジャコ万、それをさせじとする鉄。乱闘は続いた。が、力強いかけ声の響く中、ジャコ万の復讐心は次第に消えていくのだった。そんな「ユキと一緒にほっ建て小屋でも建てろよ」と札束を放り投げる鉄は、またさびしく海へ出ていった。