若親分千両肌 1967-12-30
解説
市川雷蔵のヒットシリーズ「若親分」第八作にして最終作。「女の賭場」の直居欽哉がシナリオを書き「若親分」初期三作を監督した池広一夫がメガホンをとった。
若親分の南条武は旅の途中、人違いが原因で狙撃されてしまう。奇術一座の昇天斎辰丸が傷を負った武を救い、武はお礼に裏方を手伝うことになった。宇島での興行は成功したものの、土地の顔役である青柳組から金をゆすられ、武はひとりで青柳組に乗り込み組長の青柳竜作から子分の詫びを入れられた。竜作は病床にあり、代貸の黒崎が組の乗っ取りを画策しているらしい。青柳組が建設中の海軍兵器工場に、赤松組が殴り込みをかける事件が起こるが、裏では黒崎と赤松組が手を組んでいたのだった。
あらすじ
南条武は、栄吉という男と間違われて何者かに襲われ、奇術一座の辰丸に助けられた。一座と共に宇島に来た武は、栄吉が青柳組親分の竜作の息子で、竜作の養女君江の許婚者でもあり、長い間行方不明の男だと知った。青柳組の代貸黒崎は、竜作の病気をよいことに、勝手に組を取り仕切っていた。ある日、武はかつての同期生水上海軍少尉と会い、青柳組が建設中の海軍秘密兵器工場を訪ねて、酸素魚雷の発射実験を見学した。翌日、その工場が爆破された上、秘密兵器の設計図が盗まれてしまった。その疑いは武と水上少尉、それに竜作にかかった。武は一週間以内に真犯人を捕えると確約して事件の捜査にかかった。その頃、君江は栄吉から連絡を受け、武に知らせた。だが、栄吉は爆破事件の真相を知りながら、やくざの父竜作を嫌って証言しようとはしなかった。武は間もなく特務機関上りの大杉が江藤技術少尉と関係のあることを突きとめた。その上、黒崎がライバルの赤松組と通じて青柳組を乗っ取ろうと企て、栄吉を狙っていること、大杉がその赤松と黒崎を利用して秘密兵器工場を爆破させ、技術将校の立場を利用した江藤が設計図を盗み出したことも分かった。栄吉は、黒崎の女とも知らず女給葉子を信じたために、赤松組に監禁されてしまった。武は、海軍士官に変装し、警戒線をくぐり抜けて巧みに栄吉を救出し、事件の元凶大杉の所に向かった。大杉は、いまや邪魔者になった赤松や黒崎を処分すると、江藤と共に設計図を持って海外へ逃亡しようとしていたが、武の刀の下に倒れていった。