リスナー 2015-02-28
解説
ラジオをテーマに、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻の監督領域所属の9期生と、韓国国立映画アカデミーの卒業生5名がメガホンを取ったオムニバス。ラジオをストーリーに絡めつつ、それぞれ趣向を凝らした話が展開する。さまざまな作品で独特の存在感を放ってきた温水洋一や、テレビドラマ「半沢直樹」などの駿河太郎らが出演。多角的な視点で描かれる人間模様はもとより、新鋭監督たちの手腕にうなる。
あらすじ
「Unlucky」解散を決め、暗い気分で最後のドライブをするバンド。カーラジオから流れる番組『鼻歌レスキュー』で、彼らの唯一のヒット曲に似た鼻歌が流れてくる。投稿者に込められている想い、リスナーの想いが、ラジオによって時間や場所を超えて結びつき、沈んでいたバンドメンバーたちの気持ちに変化を与えていく。「電波に生きる」古着工場で派遣労働をする御法川は、口内の銀歯で電波を受信して、脳内に流れるラジオ放送を聴くことができる。しかし、サッカーW杯の日本戦の夜、銀歯を失ってしまう。ラジオが聞こえなくなり、バランスを崩した御法川は工場を飛び出すが……。「残されたモノ」日本の寂れた風俗店で働く不法滞在の韓国人女性シネは、店のマネージャー、タダナリの暴力に日々耐えていた。ある日震災が襲い、シネは気が付くと、タダナリと他の韓国人のジョンヒと共に、雑居ビルに閉じ込められていた。シネとジョンヒはどうにかして外に出ようとするが、タダナリはそれを遮る。3人はかろうじて聴こえてくるラジオの放送をたよりに、脱出を試みる。「RADIO GIRLS」若者にカリスマ的な人気を誇るDJワッチのラジオが常に流れている、とある郊外の街。女子高生のルイたちは、自由を謳うワッチの声に合わせるように、好き勝手に遊ぶことで青春を謳歌していた。しかし、ある日の放送中、ワッチの過去が明らかになり、ラジオ番組は崩壊してしまう。すると、ルイたちの青春も少しずつあやふやになってしまい……。「ブエルボ アル スール」ラジオ局の老プロデューサーが退職間近に特別企画と銘打ち、旧知の仲であるブラジルのビックバンド、プエルボ アル スールを呼び寄せる。しかし、来日したのはボーカルのカルロスのみで、他のメンバーは既に亡くなってしまったと言う。番組は、当初の企画から破綻したまま進行していくが、カルロスが突如口を開くと、他のメンバーの魂が呼び出され、番組は意外な展開を迎える。