瞳をとじて 2013-11-01
解説
親にむごい扱いを受けてきた盲目の少女と、彼女を教育する立場ながら許されぬ思いを抱く中年男のてん末を、鎌倉の美しい景色を背景に描く恋愛悲劇。ノーベル賞作家、アンドレ・ジッドの小説「田園交響楽」を基に、『サル』『湘南ものがたり』などの葉山陽一郎がメガホンを取る。生徒であるヒロインを愛してしまう主人公を、『修羅がゆく』シリーズや『WARU ワル』などの萩原流行が熱演。盲目の少女役に『鈴木先生』シリーズなどの福地亜紗美がふんする。許されぬ愛によって身を滅ぼす主人公の生きざまに圧倒される。
あらすじ
日本の古都、鎌倉。元高校教師の神野智明(萩原流行)は、学校をドロップアウトした子供たちに儒教の教えをモットーに更生活動を行っている。神野はある日、親に虐待を受けていた盲目の少女・百合絵(福地亜紗美)を預かる。学校に行かせてもらえず、犬小屋で犬と一緒に育てられた百合絵は、世の中のことを何も知らない。神野は彼女に粘り強く教育を施し、純粋無垢で知性的な美しい女性へと成長させる。そのうち神野は、百合絵を生徒としてではなく、一人の女性として愛するようになる。神野の妻・晶子は、神野の気持ちに疑念を持ち始める。さらに神野の長男・孝之(前川紘毅)も百合絵に心を奪われるが、百合絵は神野を愛していると言う。そんななか、百合絵が手術によって目が見えるようになることが判明し、神野は私塾の生徒たちのために貯めた金を、妻に内緒で手術費用に充ててしまう。百合絵の手術は成功し、目が見えるようになる。しかし百合絵は、思い描いていた愛する人の顔が、神野ではなく孝之だったことに驚き、動揺する。神野の愛を拒み、百合絵は孝之と結ばれる。孝之に嫉妬した神野は、自らの手で孝之を殺してしまう。それを目撃した晶子は、百合絵をなじる。百合絵はすべて自分のせいだと思い、家を飛び出す。その後を追った神野と百合絵の運命は……。