グッバイ・ママ 1991-04-20
解説
ヒットメイカーの秋元康が初めて脚本と監督を務めた劇場作品。奥山和由が製作、寺田敏雄が共同脚本、鈴木達夫が撮影を担当した。突然かつての恋人の子供と同居することになったキャリアウーマンの姿を描く。
野崎かな子は証券会社の有望な社員としてキャリアを積んでおり、妻子ある開業医の楠田との愛人関係も順調で、順風満帆な日々を過ごしていた。しかしそこに昔の恋人の遺児が転がり込んできた。大杉は妻とともに交通事故で亡くなり、他に身寄りのない一人息子の健を、かな子が引き取ることになったのだった。生意気な健にイライラが募るかな子だったが、徐々に健に対し心を開いていく。ようやく心が通じ合った二人だったが、かな子にニューヨーク転勤の辞令が下り…。
あらすじ
30代半ばのキャリアウーマンかな子は、証券会社の仕事も、愛人の開業医楠田との恋も全て順調。ところがそんな快適なライフスタイルを楽しんでいたかな子のもとに突然、昔の恋人・大杉の遺児で、小学生の健が転がり込んで来た。代金を返済したはずのかな子のマンションの契約書名義が、不動産会社社長だった大杉の妻の名前のままになっていたのだった。膨大な借金を抱えていた大杉の遺産はマンションだけで、健の引き取り手も誰もいなかった。掃除も料理も得意で、その上生意気な健にイライラするかな子。ある日、同じく独身のキャリアウーマンである親友の美恵子があれほど燃えていた仕事を辞め、平凡な男と結婚するとかな子に告げる。それによって心揺れるかな子は、健がバースディパーティに招待した友達をマンションから追い出してしまう。かな子は後悔したが、怒って飛び出していった健はその夜、戻って来なかった。そして両親の墓の前にいた健を見つけて素直に謝るかな子。翌日、風邪で倒れてしまったかな子に困惑した健は以前かな子から聞いていた楠田の事を思い出し、往診を頼む。かな子はそんな健の優しさに涙ぐんでしまう。こうしてやっと健と心通じ合ったかな子に、かねてから希望していたニューヨーク転勤の辞令が下る。健とも楠田とも離れたくないと思い始めていたかな子はつい「一緒に行って」と楠田に本心をさらけだす。だが、かな子も妻子も両方大切な楠田は何も言えなかった。かな子は転勤のことを隠し、健と楽しい時を過ごす。大杉の弁護士に「健は遠縁の人が面倒をみる」と知らされ安心するかな子は、健がいない間に空港へ向かった。帰宅した健は弁護士からかな子がニューヨークに行くと聞き、楠田と共に空港へと急ぐ。そして間一髪でかな子を見つけた健の手には、かな子の名義になったマンションの権利書を持っていた。そして抱き合う二人と、それを見つめる楠田。涙ぐんだまま健と別れたかな子は搭乗ゲートの中に消え、ニューヨークへと飛び立っていくのだった。