ソウル・キッチン 2011-01-22
解説
『愛より強く』『そして、私たちは愛に帰る』などのドイツ映画の俊英、ファティ・アキン監督による人生賛歌。ハンブルクの大衆レストランを経営する弟と服役中の兄のギリシャ系ドイツ人兄弟を中心に友情や恋愛、人生を多彩な音楽に乗せて描く。主演は、共同で脚本も手掛けたアダム・ボウスドウコスと、『バーダー・マインホフ 理想の果てに』のモーリッツ・ブライブトロイ。さらには、ドイツを代表する怪優ウド・キアも出演。ダメ人間だけど憎めない兄弟に笑い、ハッピーな気持ちにさせられる佳品だ。
あらすじ
ジノス(アダム・ボウスドウコス)は、レストラン“ソウル・キッチン”の若きオーナー。庶民的な店で、常連客はいるものの、繁盛からはほど遠い。ある日、ジノスはジャーナリスト志望の恋人ナディーン(フェリーネ・ロッガン)とともに訪れた高級レストランでシェフのシェイン(ビロル・ユーネル)がクビにされる現場を目撃。ジノスは彼をスカウトする。だが、シェインの料理は堅苦しくて常連客に受け入れられず、客足は遠のく一方。そこへ学生時代の友人で今は不動産業のノイマン(ヴォータン・ヴィルケ・メーリング)がやってきて、店を売れと迫る。さらに税務署が、滞納していた税金の代わりにステレオを差し押さえていく。その上、ノイマンの嫌がらせで、衛生局からは手作りのキッチンを1カ月で改善しないと業務停止するとの脅しを受け、やむなく店は一時休業。悩みを相談したいが、ナディーンは仕事ですでに上海。次から次へとジノスに降りかかる災難。ついにジノスは、ナディーンのいる上海へ行くことを決意する。そんなある時、休業中の店で従業員のルッツがバンドのライブリハーサルを始めると、演奏を目当てに人が集まってくる。そこへ、ジノスの兄イリアス(モーリッツ・ブライプトロイ)が刑務所から仮出所してくる。店に出入りするうちにウェイトレスのルチア(アンナ・ベデルケ)に恋をしたイリアスは、仲間とともにDJセットを盗み出し、店で音楽を流す。賑わいを見せるソウル・キッチン。音楽の力とシェインの料理が評判を呼び、連日大繁盛。ジノスは、店をイリアスに任せてナディーンのいる上海へ向かおうと空港を訪れるが、そこで帰省したナディーンと再会。しかも、彼女の隣には中国人の恋人が寄り添っていた。追い打ちをかけるように、店を訪れたノイマンがイリアスを巧みにギャンブルに誘い、店を奪い取ってしまう。“ソウル・キッチン”存続の危機に、ジノスたちは……。