作家の百けん(松尾スズキ)と妻のツグミ(小泉今日子)は、根津権現裏の家で平穏に暮らしていた。ツグミは土間の喫茶店で働いており、百けんは机に向かっているが、なかなか筆が進まない。それどころか、時間がさかのぼっているような感覚を覚える。やがてツグミは静かに着物を脱いで横たわり、「百年可愛がってくれたんだから、もう百年、待っててくれますか?」と言い残し、消え入るように死んでしまう。百けんはツグミの言葉を信じて待ち続け、ある時、美しい百合の花が百けんの前で花開く。百年はもう来ていたのだ。