CROSS 2001-12-30
解説
知力の低下を憂いた文部科学省は制限時間内にクロスワードパズルを解かせる“クロス制度”で市民を抜き打ちで選別していた。引きこもりで読書依存症の青年、風間紘平はある日、警察に追われているところを移動式ナースの兄妹、ジョーとサツコに助けられる。人々が怖れる“クロス”を易々と解答している紘平をみたジョーは、紘平の膨大な知識量に気づく。ジョーは紘平をけしかけ“クロス”解答の代行業を始める。紘平はたちまち街のヒーローに祭り上げられるが、一方で不正に気づいた文部科学省の追跡の手が忍び寄っていた……。
あらすじ
現在ではない現在。ゆとり教育が招いた知力の著しい低下を憂いた文部科学省は、クロス制度(14歳から35歳までを対象に、制限時間3分の間にクロスワードパズルを解かせる)という国民頭脳選抜テストを抜き打ちで実施。満14歳になると国民は眼球に3つの印(通称:チャージ)を与えられ、3回クロス解答に失敗しチャージを失うと、知能再開発対象者I.R.P..〈Intellectual Training Redevelopment Project〉(通称:アープ)として政府によって収容され、基本的人権を剥奪されることになっていた。渋谷区神南地区。現代病のひとつ”読物依存症“で引きこもりの青年・紘平は、知能開発庁のコンピュータにハッキングした罪で警察に追われていた。そんな彼を助けたのは、”移動式ナース“を生業とする兄妹・ジョーとサツコ。やがて3人は、紘平の持つ膨大な知識量を活かしてクロス解答の代行業を始めるが、紘平はそれを許さない文部科学省によって知能開発庁に連行され、クロスの問題作成員にされる。だが、そこで同じ作成員の少女・ミサキに恋した彼は脱出を計画。彼女を外界へと連れ出すことに成功するが、彼女は死滅装置によって命を奪われてしまう。悲しみに暮れる紘平。しかし、人を愛したことで引きこもりから脱することが出来た彼は、再び知能開発庁に戻るとクロス制度の実権を握る四方堂を殺害し、街へ戻って行くのだった。