妖怪奇談 2007-01-13
解説
平凡な女性たちが“妖怪”に変化する様を、斬新な映像と説得力のあるストーリーでつづる現代版妖怪物語。己の心の闇に引きずられ、人間ではない何かに変身するしかないヒロインたちの恐怖と人間の業(ごう)の深さを描く。難役に挑むのは、レミオロメンのプロモーションビデオ「粉雪」に出演している宮光真理子や『ルート225』の市川春樹。『楽園 流されて』の亀井亨監督が、日常と、その隣り合わせの闇の世界を見事に調和させた。
あらすじ
うまく笑えないモデル、山根美智子(宮光真理子)は長身で美形ながら自分にまったく自信が持てずにいた。それに、ここ最近、首の痛みがひどい。病院に行っても原因不明。そんなある日、首の痛みのせいか、仕事のストレスか、撮影中にたくさんのストロボを浴びながら倒れてしまう。まるで世界に責め立てられるような錯覚を起こしながら意識を失った美智子は病院に運ばれていた。検査結果を見た医者はつぶやく。「あなたの首の骨、蛇みたいですね」。実は彼女には秘密があった。それは夜になると首が“ろくろ首”の様に伸びる体質になっていたのだった。同じ病室に入院中の高校生の佐伯まな(市川春樹)は、美智子の首が伸びるのを目撃してしまうが、部屋を離れようとはせず、美智子とまなはトモダチになった。一見、素直そうに見えるまなは、実は性根が歪んでいた。幼さゆえの残酷さを秘め、孤独を抱えてるまなだが、父親に対してだけにはかわいい娘でいようとする一面もあった。そんな彼女の顔の部品が“のっぺら坊”の様に徐々に無くなりはじめたのもその頃だった。一方、フリーターの岩崎みひろ(伴杏里)はネイルアートに夢中だった。フツーより少しかわいく、少し明るく。目立ちすぎないが、気にはされたい。うまく生きているつもりだった。そんなみひろが唯一つ執着している爪が、日を追うごとに加速して伸び始めた。切っても切っても伸び続ける爪は遂に凶器となり触れるもの皆傷つけてしまう。まともに取り合ってもらえない彼女は“かまいたち”のように人や物を切り裂いてしまう。警察にも追われ、行き場のないみひろは走り出す。美智子は病院を脱走し、車を盗みアクセルを踏んだ。一方、まなは、失った顔で泣きながら、雨の街を彷徨っていた。今、女たちは走り出した。行き先もなければ、逃げ場もないこの世界に。そんな三人が遂に交わる時、何かが起こる?! 運命のクロスロードは?