カポネ大いに泣く 1985-02-16
解説
梶山季之の同名小説を鈴木清順監督が映画化した。脚本は大和屋竺、撮影は高田昭と藤沢順一がそれぞれ務めた。美術を木村威夫と鈴木岬一が担当している。昭和初期に渡米した浪曲師の男と芸者の顛末を描いたパワフル・コメディ。
造り酒屋の跡取り息子・順之助は浪曲師を目指して家を出るのだが、芸者の小染と出会い、懇ろとなる。追われる身の二人はともにサンフランシスコへ旅立ち、一旗揚げようとするのだが、騙されて文無しとなってしまう。それぞれ路上芸人、女郎となってしまった二人の前に、日本人街のボス・ガン鉄こと大西鉄五郎が現れる。そんな中、3人はサンフランシスコ進出を狙うシカゴのギャング、アル・カポネと、密造酒を巡って争うことになるのだが…。
あらすじ
昭和初期、芸者の小染は、旅回りの役者の順之助、のちの桃中軒海右衛門と出会い、深い仲になる。小染は、昔、旦那の目を盗んで浮気をしたことがバレ、背中に蛸の刺青を彫られてしまった。順之助は浪花節語りの桃中軒雲右衛門に憧れ、一座を逃げ出したのだ。小染の旦那が監獄から出ることになり、一方、一座も順之助を連れ戻しに来たので、二人はサンフランシスコに逃げた。浪花節で日本人移民を慰問するという気宇壮大な出発だったが、口入れ屋にだまされ、有り金は底をつき、小染のアクセサリーも賭博で取られ、小染は女郎に、海右衛門は乞食になる。そんな時、二人は大西鉄五郎<通称ガン鉄>と出会う。ガン鉄は横浜ハウスに巣喰う快男児で、街頭で狼花節をうなる海右衛門を見かねて、高級ナイトクラブに連れていさ、浪花節は通用しないと、新しいショーを見せた。そこで踊っていたダンサーのリリアンが和服の海右衛門をサムライ!と一目惚れしてしまう。その頃のサンフランシスコは中国人、日本人など様々な人種が入り乱れる欲望の街で、シカゴのギャング、カポネも西部進出を狙い、弟のフランク・カポネを派遣して来た。フランクはサンフランシスコの密造酒を独占しようとし、一方、ガン鉄、海右衛門、小染たちも、つくり酒屋の息子だった海右衛門に“シスコ正宗”を作らせて対抗する。三人はシカゴに行ったりするが、だんだんと追いつめられていく。そんな中で、小染は自動車事故で死んでしまう。さらにガン鉄もフグを食べて中毒死。海右衛門はリリアンに介錯させ切腹するのだった。